long COVIDの病態というわけではありませんが、オミクロン株とデルタ株感染におけるlong COVIDの相対確率を明らかにすることを目的とした症例対照研究（Lancet. June 18, 2022（doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00941-2））を紹介します。

Zoe社が開発したスマホアプリの使用者から集めた情報を使用し、2021年6月1日～11月27をデルタ株期，2021年12月20日～2022年3月9日をオミクロン株期（期間内にオミクロン株ないしデルタ株が70％以上を占める）としています。

その結果、long COVIDはデルタ株期で10.8%（4469/41361人）、オミクロン株期で4.5%（2501/56003人）で、オミクロン株で少なかったことが分かりました。

ワクチンの接種時期を考慮すると、オミクロン株ではデルタ株よりオッズ比で24～50%低い結果で、年齢を考慮してもオミクロン株ではlong COVIDが少なかったことが分かりましたが、感染者がオミクロン株で圧倒的に多いことを考慮すると、long COVIDはオミクロン株期以降、必然的に増加すると推察されました。

オミクロン株はデルタ株よりもlong COVIDをきたすオッズ比が低いものの、感染者数が圧倒的に多いためlong COVID罹患者は必然的に増加してしまいます。long COVIDに対する治療法が確立していない現状を考えると、5類になったとはいえ、状況に応じた感染対策は継続した方が良さそうですね。（小児科　土谷）