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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

両親のメンタルヘルスも大切です

母親のうつ病が子どものうつ病の重要な危険因子であることはよく知られていますが、父親のうつ病との関連は、これまで疫学的エビデンスはありませんでした。

今回は父子間におけるうつ病の関連性について検討した観察研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施した論文(JAMA Netw Open. 2023 Aug 1;6(8):e2329159.)を紹介します。

Paternal Depression and Risk of Depression Among Offspring: A Systematic Review and Meta-Analysis | Depressive Disorders | JAMA Network Open | JAMA Network

 

著者らは、EMBASE、PubMed、PsycINFO、Scopus、Web of Scienceに2022年12月までに収載された文献から、父子のうつ病に関する検索キーワードで1万606件を同定しました。PRISMAガイドラインに従いシステマチックレビューを実施し、最終的に2002~21年に発表された観察研究16件715万3,723組の父子サンプルをメタ解析に組み入れ、ランダム効果逆分散加重法を用いてプール解析を行いました。サブグループ解析と感受性解析も実施しました。主要評価項目は、うつ評価ツールにより評価した子どものうつ病です。

 

メタ解析の結果、父親のうつ病は子どものうつ病リスク上昇と関連していました〔オッズ比(OR)1.42、95%CI 1.17~1.71〕。

父親のうつ症状を曝露因子とした研究(OR 1.12、95%CI 1.06~1.19)と比べ、父親の臨床的なうつ病を曝露因子とした研究(OR 1.65、95%CI 1.28~2.12)で子どものうつ病リスクが高かったことが分かりました。同様に、父親のうつ病の定義に症状を評価するスクリーニングツールを用いた場合(OR 1.14、95%CI 1.09~1.19)と比べ、診断ツールを用いた場合(同1.56、1.17~2.07)に子どものうつ病リスクが高かったことが分かりました。

また、父親のうつ病が子どもの出生直後(OR 1.05、95%CI 1.02~1.09)または幼児期のみ(同1.22、1.07~1.36)だった場合と比べ、長期間に及ぶ場合(同1.58、1.09~2.29)に子どものうつ病リスクが高かったことも分かりました。

さらに、1つ抜き法による感度解析でも、父親のうつ病と子どもの将来的うつ病発症との関連は一貫して認められていました〔OR 1.35(95%CI 1.12~1.62)~1.45(同1.18~1.78)〕。

 

以上から、父親の臨床的うつ病や長期罹患により、子どものうつ病リスクが高まることが分かりました。子どものメンタルヘルスへの悪影響を軽減するためには、母親だけでなく父親も含めた両親のメンタルヘルス問題に取り組むことが重要です。 (小児科 土谷)

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