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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

乳児期の唾液接触と学齢期のアレルギー

昨日紹介したリンクの中で、「親の唾液に接触することが子どものアレルギーを予防する可能性がある」ことに触れられていたので、今回はそれに関する論文(Journal of Allergy and Clinical Immunology: Global 2023, 2(3):100108.)を紹介します。

研究内容については和歌山県立医科大学HPにも掲載されていますので、ご興味のある方はご覧になって下さい。

乳児期の唾液接触と学齢期のアレルギー発症リスクとの関連性を明らかに|和歌山県立医科大学 (wakayama-med.ac.jp)

20230524_shiryou.pdf (wakayama-med.ac.jp)

 

乳児期(生後12ヶ月未満)の唾液接触が、日本人の子どものアレルギー発症リスクを低下させるという仮説を検証するために、日本の小中学生とその親を対象に、国際小児喘息・アレルギー研究(International Study of Asthma and Allergies in Childhood: ISAAC)の質問を含む91の自記式質問を用いた横断的デザインによる疫学調査を実施し、多施設共同研究を実施しました。

 

〔方法〕石川県と栃木県の2県で調査を実施。小学校1年生から6年生と、中学校1年生から3年生に無記名の自記式質問紙を配布し、自宅で保護者とともに記入したものを回収しました(石川県の小学校3校と中学校3校の児童1718名とその保護者、栃木県の小学校3校と中学校2校の児童1,852名とその保護者)。

なお、多変量ロジスティック回帰分析を行い、小中学生の湿疹(アトピー性皮膚炎)、アレルギー性鼻炎、喘息の発症と、乳児期(生後12カ月未満)の食器の共有および親の唾液によるおしゃぶりの洗浄を介した唾液接触との独立した関連性についても評価しました。

 

〔結果〕有効回答率は94.7%

乳児期の食器共有による唾液接触は、学齢期の湿疹発症リスクの低下と有意に関連しており、(オッズ比[OR] 0.53; 95%信頼区間[CI] 0.34-0.83)。母親のアレルギー歴、妊娠中の母親の喫煙、親の口腔感染症の知識で調整した後も有意な関連が認められました(OR 0.52; 95% CI 0.32-0.84)。

乳児期の親の唾液によるおしゃぶりの洗浄を介した唾液の接触は、学齢期の湿疹(アトピー性皮膚炎)(OR 0.24; 95% CI 0.10-0.60)とアレルギー性鼻炎(OR 0.33; 95% CI 0.15-0.73)の発症リスクの低下と有意に関連し、同様の因子で調整後も有意な関連が示唆されました(湿疹:OR 0.35; 95% CI 0.13-0.91、アレルギー性鼻炎:OR 0.32; 95% CI 0.14-0.72)。

親の唾液によるおしゃぶりの洗浄と学齢期の喘息については、明確な有意差は見られませんでしたが、発症リスク低下の可能性が示唆されました(調整後OR 0.17; 95% CI 0.02-1.31)。

以上から、乳児期の唾液接触としての食器の共用や、親の唾液で洗浄したおしゃぶりを使用よることで、学齢期の湿疹(アトピー性皮膚炎)とアレルギー性鼻炎の発症リスクが低下する可能性が示唆されました。

 

乳児期の中で「どのタイミングが発症リスク低下につながるか」など、詳しい検討が必要になると思いますが、子どものアレルギー予防法の開発に繋がる面白い研究でした。今後に期待ですねw (小児科 土谷)

 

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