今回はlong COVIDの病態というより、予防＆治療に関する話題です。

これまで、long COVIDの治療として期待されているものはCOVID-19ワクチン、抗ウイルス薬、メトホルミンでした。今回は、感染後のワクチン接種に効果があるのかについて調べた論文（Vaccine. 2023 Mar 10;41(11):1783-1790.（doi.org/10.1016/j.vaccine.2023.02.008））です。

Protective effect of COVID-19 vaccination against long COVID syndrome: A systematic review and meta-analysis – PMC (nih.gov)

COVID-19ワクチン接種のlong COVIDに対する効果を検討するためのメタ解析です。

2回のワクチン接種は、非接種および1回接種と比べて、long COVIDのリスクを低下させました（オッズ比0.64および0.60；下図）。2回接種は非接種と比較して、疲労および呼吸器障害のリスクが低かった（オッズ比0.62および0.50）ことがわかりました。

一方、long COVID患者のうち、20.3％はワクチン接種後2週間から6ヵ月後に症状の改善を認められたものの、54.4％は症状の改善を認めませんでした。

以上から、SARS-Cov-2感染前のワクチン接種はlong COVIDのリスク低下と関連するものの、long COVID患者の多くは感染後にワクチン接種しても改善しないことが示されました。

COVID-19に限らず、罹患する前に予防できる手段は、元気なうちに打っておいた方が良いみたいですね。　（小児科　土谷）