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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -その他⑩-

昨日の話題に関連した内容です。

long COVIDに対するワクチン接種の効果を前方視的に検討したコホート研究(Int J Infect Dis. 2023 Sep 15:S1201-9712(23)00720-8.(doi.org/10.1016/j.ijid.2023.09.006))を紹介します。

Vaccination after developing long COVID: Impact on clinical presentation, viral persistence, and immune responses – International Journal of Infectious Diseases (ijidonline.com)

 

ワクチン接種はlong COVIDの症状数を減らし(6.56±3.1 → 3.92±4.02;p<0.001)、罹患臓器数も減らした(3.19±1.04 → 1.89±1.12,p<0.001)ことが分かりました。加えて、ワクチン接種群では血漿中の全身性炎症マーカー(sCD40L,GRO-⍺,MIP-1⍺,IL-12p40,G-CSF,M-CSF,IL-1β,SCF)が有意に低下していました。一方、SARS-CoV-2ウイルスに対する免疫反応性は消失せずに一定レベルで持続し、ワクチン接種により増強したことが分かりました。

 

また、スパイクS1抗原は1回ないし2回のワクチン接種では除去されず、主に非古典的単球(CD14の低レベルの発現、およびCD16受容体の発現)中に残存していたことが分かりました。

以上から、ワクチン接種により全身性炎症は減少するものの、一方ではウイルス産物が持続して観察されており、それが非古典的単球を介する炎症反応の持続に関与している可能性が示唆されました。

 

ワクチン接種により、炎症性サイトカイン・ケモカインを抑制することは出来るものの、SARS-Cov-2ウイルスの持続感染による炎症は完全に抑制しきれていないみたいです。long COVIDになってからワクチン接種を行っても、ワクチン接種の効果が乏しいことの理由として考えられますね。 (小児科 土谷)

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