院長先生のブログ
リトナビル添加ニルマトルビル(パキロビッド®)の抗ウイルス効果
新型コロナウイルス診療ガイドラインの中にも出てくる抗ウイルス薬の効果を比較した論文(Lancet Infect Dis. Sep 28, 2023(doi.org/10.1016/S1473-3099(23)00493-0))です。少し古い論文ですが、ご容赦ください。
対象はCOVID-19の初期症状(症状発現4日未満)を有する低リスクの成人患者です。モルヌピラビル群65人、リトナビル添加ニルマトルビル群59人、試験薬なし群85人に割り付けました。ウイルス除去率はモルヌピラビル群では37%、ニルマトルビル群で84%でした。ウイルス除去半減期はモルヌピラビル群11.6時間、ニルマトルビル群8.5時間、試験薬なし群15. 5時間でした。
ウイルスのリバウンド率はモルヌピラビル群2%、ニルマトルビル群10%、試験薬なし群1%でした。ウイルス変異はモルヌピラビル群の持続感染で3/9例と多く、ニルマトレルビル群は0/3例、試験薬なし群0/18例でした。
以上から、モルヌピラビルと比べてリトナビル添加ニルマトルビル方が抗ウイルス効果が大きいことが分かりました。さらに、モルヌピラビルはウイルス除去率が低いことに加えて、ウイルスを死滅させずに変異をもたらしてしまうことがあるため、使用する場合はリトナビル添加ニルマトルビルが良さそうですね。 (小児科 土谷)