院長先生のブログ
オミクロン株の場合、何日目に抗原検査をすれば良いのか?
コロナ禍で感冒症状を主訴に来院された患者さんに、「どのタイミングで抗原検査をすれば良いのか」について説明することもしばしばです。
今日は昨年の論文ですが、このタイミングに関する論文(Clinical Infectious Diseases, ciad582, https://doi.org/10.1093/cid/ciad582)を紹介します。
この研究では、ジョージア州(米国)でオミクロン株が流行していた2022年4月~2023年4月の期間、348名(被験者の中央値:39.2才)について、風邪症状が出てから何日目で鼻腔のウイルス量が最大になったかを調査し(さらに抗原検査陽性率も同時に調査し)、これをインフルエンザ感染の場合と比べています。
図の縦軸がPCR検査で得られたCt値(値が低いほど排出ウイルス量が多い)、横軸が検査日を発症からの日数で示したものです。
これまでの新型コロナウイルスの場合は発症後すぐに検出ウイルス量が最大となっていましたが、オミクロン株の場合は発症してから3~4日目に排出ウイルス量が最大となり、ようやく抗原検査陽性となるウイルスレベル(Ct値にして25~30以下)に達することがわかりました。
比較対象としてインフルエンザで同様のことを調べると、発症後1日目ですでに排出ウイルス量が最大となっていました。
以上から、オミクロン株感染では、最もウイルス量が多く、抗原検査陽性となりやすいタイミングが以前より2~3日遅くなっており、平均して発症後 3~4日目であることが分かりました。
新型コロナウイルスでは発症後1日目で抗原検査陽性になる割合が全体の3~6割程度、2日目で6~7割程度であることを踏まえると、症状が出たからといって慌てて検査をしても新型コロナではすぐには陽性にならず、3,4日目に再検査をしたほうが良い、抗原検査陰性だからといってオミクロン感染が除外できるわけではない、ということを意味しています。
自宅等で抗原検査を実施する場合、検査をするタイミングによっては検査結果の解釈に注意を要する場合があります。地域の流行状況、症状と合わせて総合的に判断すると良いでしょう。 (小児科 土谷)