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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

「紅麹サプリ」問題

最近話題の「紅麹サプリ」問題。死亡者も出ています。

(ちなみに、この紅麹はいわゆる機能性表示食品とよばれる範疇にあるものです)

これまで「未知の成分」が混入したとされていますが、ここにきて青カビが生成する「プベルル酸」が検出され、話題になっています。

現時点で、プベルル酸が原因物質として特定された訳ではありませんのでご注意を。

検出のプベルル酸とは? 青カビが生成、厚労省「毒性は非常に高い」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

 

プベルル酸について、あまりよく知らなかったので検索してみました(3/29)。

(普段あまり診療で扱う内容でないもので・・)

プベルル酸を「PubMed」で検索してヒットした論文は6件でした。

マラリアに対する抗生物質候補となる物質として研究されていて、うち3報で細胞毒性について検討されていました。プベルル酸そのものの細胞毒性は低いものの、プベルル酸からの誘導体や合成中間体からの誘導体では細胞毒性が高いものもあるようですね。

 

1)論文①(Chem Pharm Bull (Tokyo). 2021;69(6):564-572.)

Discoveries and Syntheses of Highly Potent Antimalarial Troponoids (jst.go.jp)

プベルル酸のカルボキシル基をエステル,アミド,ケトンに変換した新規誘導体が抗マラリア活性を示した。細胞毒性ではプベルル酸はIC50=4180ng/mLで毒性は低かったが、誘導体ではIC50はかなり小さい値をとり、毒性が強かった。

 

2)論文②(Sci Rep. 2017 Aug 3;7(1):7259.)

Antimalarial troponoids, puberulic acid and viticolins; divergent synthesis and structure-activity relationship studies – PMC (nih.gov)

プベルル酸の全合成ルートに現れる中間体化合物から合成した7-ヒドロキシトロポロン誘導体や6,7-ジヒドロキシトロポロン誘導体は強い抗マラリア活性を有したが、同時に細胞毒性も強かった。

 

3)論文③(J Antibiot (Tokyo). 2011 Feb;64(2):183-8. )

In vitro and in vivo antimalarial activity of puberulic acid and its new analogs, viticolins A–C, produced by Penicillium sp. FKI-4410 | The Journal of Antibiotics (nature.com)

カビの一種Penicillium sp. FKI-4410の培養液からプベルル酸と3種の新規化合物viticolin A-Cを単離した。プベルル酸は強い抗マラリア活性を有し、アルテミシニンやアルテスネートと同程度であった。プベルル酸の細胞毒性は57.2μg/mLと低かった。

 

これから真の原因物質が何なのか?真相解明が進むと思います。

詳しい情報も、今後時間が経つにつれて増えてくると思います。

 

まずは被害の拡大防止に全力を尽くして欲しいと思います。

次に、健康被害にあわれた方や遺族に対するケアや補償をきちんとおこなって欲しいと思います。

 

最後に、日本医師会のホームページに健康食品とサプリメントについてわかりやすい意見が書かれているので紹介します。

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健康食品やサプリメントが、実際に、ふつうの食品よりも、「健康によい」、「健康に効果がある」、「健康の保持増進に役立つ」かどうか、科学的根拠があるかどうかは、必ずしも十分ではありません。また、健康食品やサプリメントは、くすりの代わりではありません。それから、「食品だから安心」、「天然成分だから安全」は誤解で、天然成分由来の健康食品でも、アレルギー症状や医薬品との相互作用を起こすものがあります。特に、病人、子ども、妊産婦、高齢者、アレルギー体質のある方などは、要注意です。

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いわゆる機能性表示食品とよばれるものは医薬品ではなく、サプリメントと同様に、必ずしも十分な安全性評価が行われていませんので、使用される際はご注意下さい。 (小児科 土谷)

 

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