院長先生のブログ
風邪をひいたら入浴したらダメですか?
今日の外来で保護者の方から相談されたこと「風邪ひいたときに、お風呂入って良いですか」について、述べさせて頂きます。あんまり外来で説明できなかったので補足です。
基本的に、(高熱が出ていなくて)咳や鼻水、喉の痛みなどの風邪症状があっても、症状が軽くて、子どもが普段どおり元気であればお風呂に入っても構わないと思っています。もちろん、健康な子どもが温泉に入る訳ではないので、長時間の入浴を避け(無駄な体力の消耗を避けましょう!)、短時間で入浴を済ませること(シャワー浴でも良いでしょう)、湯冷めに気をつけることが前提ですw
では、僕以外の日本の小児科医の考えはどうでしょうか?古めの論文ですが、面白いテーマなので読んでみました(Fam Pract. 2000 Aug;17(4):334-6. doi: 10.1093/fampra/17.4.334.)。
日本小児科学会の会員名簿から系統抽出した小児科医に、アンケート用紙486枚を郵送して得られた解答を検討しています。アンケートの主な内容は、①風邪をひいている2歳から4歳の子どもの入浴を許可しますか? 、②設問①の答えが「はい」の場合、そのような子どもの入浴を制限すべき条件は何か、また「いいえ」の場合、なぜ入浴を禁止するのですか?の2つで、他のアンケート記載内容は、解答者の年齢や性別、診療形態や診療場所などでした。
アンケートの結果、269名の小児科医から解答が寄せられ(回収率55%)、そのうち88%が風邪をひいた子どもの入浴を許可していました。無条件で入浴許可した小児科医は5%でした。小児科医が示した主な入浴条件は「熱がない」(72%)「ひどい体調でない」(27%)「発症から2~3日後」(18%)などで、「風邪の子どもは入浴しないほうがよい」と回答した小児科医31名(12%)のうち、61%は子どもの体調悪化を心配していましたが、29%は裏付けとなる根拠を示していませんでした。
自分のこれまでの考えが世間一般的な小児科医の多数派に入っていると安心しちゃいますね(笑)。
大部分の小児科の先生方は風邪をひいた子どもの入浴を許可していました。入浴は必ずしも体調に悪影響を与えるとは限りません。子どもの体調がひどくなければ、サッと入れて快適にしてあげると良いでしょう。そして、お風呂の湿気で気道が潤うと、鼻の通りが良くなるので、鼻が詰まっているときは入浴後にしっかり鼻をかんであげると、尚のこと良いと思います。 (小児科 土谷)