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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ワクチン接種で認められるノセボ効果

プラセボ効果はよく耳にすると思いますが、「ノセボ効果」という言葉をご存じですか?
実際には薬効のない薬剤でも、「薬が効く」と信じることで本当に効果が現れることをプラセボ効果といいますが、これとは逆に、薬や医師に対して不信感などのマイナスなイメージがあると、薬剤などの効果が落ちてしまうことがあり、これをノセボ(ノシーボ)効果と呼びます。

これまで新型コロナワクチン接種を実施してきた中で、被接種者(成人含む)やその保護者の方々から接種後に現れた体調不良について相談されることもあったので、今回はワクチン接種に関連するノセボ効果の存在について、読んでみました(JAMA Netw Open. 2023 Mar 1;6(3):e234732.)。

2021年8月16日~28日の期間にmRNAワクチンの2回目の接種を受けた成人において、ワクチン接種による期待される利益とリスク、初回接種時の副作用、および近親者に認められた副作用と接種後に出現した全身性副作用の重症度との関連性を分析した前向きコホート研究で、ファイザーワクチン接種者1,297人、モデルナワクチン接種者381人の計1,678人(年齢中央値34歳、女性51.4%)について調べています。

その結果、新型コロナワクチン接種から1週間以内に強い副反応が出るリスクは、ワクチン接種にあまり期待していない人では0.72(1より低い:普通より出にくい)、ワクチン接種の副反応をはじめから心配している人では1.39(1より高い:普通より出やすい)、初回接種時に強い副反応があった人では1.60、感受性が高く心配性の人では1.2でした。

以上から、初回接種時に強い副反応があった人だけでなく、ワクチン接種に対してあらかじめ心配感、不安感がある人も、それだけで副反応が出やすいことが分かりました(ワクチン接種でもノセボ効果があるみたい)。

ちなみに、頭痛や倦怠感といった症状(よくリーフレットに、接種後によく生じる症状として記載されている症状)はノセボ効果として現れやすいことが指摘されています(JAMA network open. 2022 01 04;5(1);e2143955.)。

接種前に出来る限り、「正しい」情報を得て、少しでも不安を払拭することは、新型コロナワクチンに限らず、ワクチンの副反応を減らすひとつの手段とも言えるでしょう。 (小児科 土谷)

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