院長先生のブログ
ワクチン接種におけるノセボ反応はかなり多い
昨日に引き続き、ワクチン接種におけるノセボ効果についての論文です(JAMA Netw Open. 2022;5(1):e2143955.)。
COVID-19ワクチン接種におけるノセボ反応に関するシステマティックレビュー,メタ解析です。各種データベースを系統的に検索し、2021年7月14日までに発表されたCOVID-19ワクチンの臨床試験を抽出し、条件に合致する試験を、2名の独立した査読者によって評価しています。主要評価項目は、プラセボ投与群における全体、全身、局所(注射部位)有害事象を報告した割合と、群間差を評価するための対数オッズ比です。
条件に合致する12の論文が対象となり、有害事象報告のある計45 380人(プラセボ投与者22 578人、ワクチン投与者22 802人)が分析されました。
<プラセボ投与者>
初回投与後
・全身性の有害事象 35.2%(頭痛、疲労など)
・局所性の有害事象 16.2%(局所痛など)
2回目の投与後
・全身性の有害事象 31.8%
・局所性の有害事象 11.8%
<COVID-19ワクチン投与者>
初回投与後
・全身性の有害事象 46.3%
・局所性の有害事象 66.7%
2回目の投与後
・全身性の有害事象 61.4%
・局所性の有害事象 72.8%
全身性有害事象:ノセボ反応が初回接種後、偽薬接種者の35.2%に全身性有害事象として認められ、頭痛(19.3%)と疲労(16.7%)が最も多く認められました。2回目の接種後、偽薬接種者の31.8%に全身性有害事象が認められていました。
偽薬群での有害事象(ノセボ反応)はワクチン初回接種後の全身性有害事象の76%、2回目接種後の52%に相当していました。
以上から、系統的レビュー、メタ解析では、プラセボ群の有害事象報告率はかなり高率であることがわかりました。
ワクチンに対する信頼感が他国よりも低く(Lancet 2020; 396: 898–908)、さらに、セロトニントランスポーター遺伝子の型により不安を抱きやすいとされている日本人では、ワクチンに対して懸念を抱き、ノセボ反応が出やすいのかもしれませんね。 (小児科 土谷)