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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ネットの使用頻度が高いと脳の発達が遅れる

これまでにもゲームやネットへの過度な依存が子どもの精神面・学習面・視力発達などに悪影響を与えることが問題視されてきました。今回はネットの長時間使用は脳の発達自体に悪影響を与えるという報告を紹介します(doi.org/10.1002/hbm.24286)。

 

東北大学からの報告です。

3年にわたって、仙台市在住の5歳~18歳の児童・生徒224名を対象にインターネット習慣をアンケート調査するとともにMRI検査を実施し、3年後にMRI検査を実施し年間の脳発達に伴う大脳灰白質体積の増加を算出しました。

 

結果:ネットを頻繁に使用する子どもでは、言語知能が相対的に低下する、脳の多くの領域で灰白質と白質の容積が小さいということが分かりました。

(右下に向けて引かれてる点線が、平均値になっており、ネット習慣が多いほど、大脳灰白質の増加が減少していることがわかります。)

灰白質の体積増加が抑えられた領域には、注意や意思決定などに関与する外側前頭前皮質、前部帯状回、情動処理に関与する島皮質、言語処理に関与する側頭皮質、報酬系に関与する眼窩皮質、社会認知機能に関与する後部帯状回などが含まれていました。

以上から、小児期のネット使用習慣が、言語知能の発達に伴う脳の体積増加を広範囲に障害する可能性が示されました。

 

既に、学校の授業や家庭での学習にタブレット端末によるネット利用が取り入れている子どもたちも少なくないと思います。僕も、現代社会において子どもをデジタル世界から隔離することは不可能だと思っています。そのため、今必要なことは「子どもがネットを使わないようにする」ことではなく、ネットが与える子どもへの影響(良い/悪い)を考えた上で、どのように利用していくかを定めたガイドラインを早急に示すことだと思います。 (小児科 土谷)

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