院長先生のブログ
HPVワクチンの有効性(海外編)
当院でもHPVワクチン接種を実施しているので、今回はHPVワクチン接種による浸潤子宮頸がんの減少に関する海外の論文(まとめ)を紹介します。
≪スウェーデン≫
17歳までの4価HPVワクチン接種により、約88%の浸潤子宮頸がんの減少効果があったことが報告されました(N Engl J Med 2020; 383:1340-1348 )。この報告では、10~30歳で1回でもHPVワクチンを接種した女性では浸潤がんのリスクが66%減少していました。
≪デンマーク≫
16歳までに4価HPVワクチンを接種した場合、若年の浸潤子宮頸がんの減少効果が86%であると報告されています(J Natl Cancer Inst. 2021 Oct; 113(10): 1329–1335.)。17~19歳のキャッチアップ接種でも減少効果が71%認められました。
≪イングランド≫
公費によるHPVワクチン接種プログラムで、12~13歳でHPVワクチンを接種した女性は、子宮頸がんを87%減少させることができたと報告しています(Lancet. 2021 Dec 4;398(10316):2084-2092.)。
海外からの報告では、HPVワクチンによる浸潤子宮頸がんの減少効果は、定期接種の若年での効果が一貫したものとなっています。女性のがん予防を推進する上で、極めて重要なワクチンであることが分かります。
次回は日本における有効性のデータを紹介します。 (小児科 土谷)