院長先生のブログ
吸入は量より質です①
喘息発作などの治療で吸入療法を外来で行う場合があります。
学童期以降のお子さんの場合、マウスピースなどを使用しますが、乳幼児は上手に口呼吸出来ないのでフェイスマスクを使用して吸入を行います。
そこで、今日はフェイスマスクを用いた場合の吸入高率に関する論文(Arch Dis Child. 1992 May;67(5):586-91. doi: 10.1136/adc.67.5.586.)を紹介します。ちょっと古い論文ですがお付き合いください。
1回換気量50ml、呼吸数32回/分のモデルを用いて、顔とマスクの距離で吸入量が変わるかを測定しています。5分間の実験で、マスクを顔にしっかり密着させていると1.21mgの薬剤が吸入されましたが、マスクが1cm離れると0.49mg、2cm離すと0.18mgしか吸入されませんでした。
マスクが1cm離れる毎に、吸入効率が6割減少するという結果です!要するに、2cm離れてしまうと吸入効果が殆ど無いということです。
吸入するときはマスクフィットが大切です。 お忘れ無く! (小児科 土谷)