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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

インフルエンザワクチンと卵アレルギー

今年もインフルエンザワクチンを接種するシーズンが近づいてきました。

当院でも今月からインフルエンザワクチンの接種を開始しています。

 

日本の子どもたちの食物アレルギーで最も多いものが「卵アレルギー」であるため、この時期は『卵アレルギーがあるのですが、インフルエンザワクチンは接種できますか?』という質問が自ずと多くなります。

だって、インフルエンザワクチンの予診票に、『ニワトリの肉や卵などにアレルギーがありますか』という項目がありますもの。。

インフルエンザワクチンに卵アレルギーの心配があるからこそ、こういった記載があるんじゃないの?と推測する人がいても何ら不思議なことではありません。

 

そこで本日はインフルエンザワクチンと卵アレルギーについて触れたいと思います。

インフルエンザワクチンに含まれる卵の量は?

食品表示法における、卵の表示義務の目安は、食品1gあたり数μg以上の卵が含まれる場合です(その濃度以下の場合は表示する義務はない)。これをもとに、インフルエンザワクチンに含まれる卵の量をみてみましょう。

日本で作られているインフルエンザワクチンに含まれる卵蛋白量は、1mLあたり数ng程度と極微量で、海外よりも少ないことが知られています(WHOが定めたインフルエンザワクチンに含まれる卵の蛋白量は1mLあたり1000ng未満であることを考えると、いかに日本のワクチンが少ないかが分かると思います)。

 

さらに、日本より多い卵含有量のインフルエンザワクチンを使用している米国ですら、2017年のシーズンから卵アレルギーのお子さんのインフルエンザワクチンの取り扱いを「重症卵アレルギーのある全ての子どもに対し、全てのワクチンに対して推奨されている予防措置以外の追加の処置はしなくてもインフルエンザワクチンを接種できる」と変更していることを考えると、「卵をほんの僅かでも摂取できていれば、インフルエンザワクチンの接種可能である」と僕は考えています(もちろん、万が一症状が出たときの体制が万全であることが前提です)。

 

これまで卵アレルギーのあるお子さんにとって、インフルエンザワクチン接種はハードルの高いワクチンであったかも知れません。

これからは、子どもの利益が最大になるよう、社会全体の合意のもと、科学的根拠に基づいて医療情報を適宜更新していって欲しいものです。本当の意味で子どもたちが守られる社会って、多分そういう社会だと思います。 (小児科 土谷)

 

注意点

「インフルエンザワクチンがアレルギーを起こさない」という訳ではありません。

本当なら、卵アレルギーの有無に関係なく、誰でもインフルエンザワクチンを接種してもよいと言いたいくらいですが、ワクチンの添付文書に、予防接種を受けることが適当でない者として「本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者」という記載があるため、これに該当する方は接種できませんので、ご注意ください。

 

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