メニュー

   

お電話

見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

胸の厚さの1/3

昨日は心停止の判断について触れたので、今日は小児の心肺蘇生の際に行う胸骨圧迫に関することです。成人の緊急事態でもアタフタするのに、小児であれば尚更です。万が一に備えて、普段から少しでも知識を付けておきましょう。

 

乳児及び小児において、胸骨圧迫の深さは、小児で胸骨の下半分の位置で胸の厚さの1/3以上(約5cm)、乳児では乳頭を結ぶ線のすぐ下の胸の中央の位置で胸の厚さの1/3以上(約4cm)が適切な胸骨圧迫の深さとされています。

 

この胸を押す深さを1歳未満の乳児と1~8歳の小児を対象として、実際にCTで正確に測定した研究があります(PEDIATRICS Volume 124, Number 1, July 2009)。この論文を基に、何故胸骨圧迫の深さが小児で5cm、乳児で4cmとされているのか理解を深めてみましょう。


乳児の胸壁前後径の1/3とは3.4±0.4cmとなります。平均4歳の小児での胸骨の下半分の位置での胸壁の厚さの1/3は4.4±0.4cmとなります。この結果の上限を基に小児では5cm、乳児では4cmという数値が設定されています。いずれにしても、かなり強力な圧迫であるに違いありません!


*以前の旧ガイドラインでは胸の厚みの約1/3~1/2が圧迫の深さとされていましたが、1/2の深さでは圧迫が強すぎて合併症のリスクが高まることが想定されたこと(それを直接示唆するエビデンスはありません)、「1/3~1/2」という範囲を示すことは教育上の妨げになり得ること(覚えにくい!)からガイドライン2015以降、胸の厚さの1/3に簡略化されています。

 

細かな数値はさておき、小児へ胸骨圧迫を行う際は胸の厚さの1/3の深さで、強く押す!ということだけでも覚えておきましょう! (小児科 土谷)

この記事をシェアする