院長先生のブログ
COVID-19 急性期合併症③
COVID-19の神経合併症、脳症・脳卒中・痙攣・昏睡を来した患者の長期的予後が不良であることが報告されています。
COVID-19の神経症状に関するグローバルコンソーシアム研究及び欧州神経学会Neuro-COVIDレジストリという2大コホートからの報告(JAMA Netw Open.2021;4(5):e2112131.)では、多く認められる神経合併症は、急性脳症(49%)、昏睡(17%)、脳卒中(6%)で、これらは死亡と関連(オッズ比,5.99)しており、慎重な経過観察が必要であるとされています。
また、SARS-CoV-2検査陽性から6週間以内に神経疾患を合併した入院患者532名と合併しなかった対照532例を比較した報告(2020年3-8月;Neurology.July 2,2022.(DOI:https://doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200006))では、認められた神経疾患は多い順に、脳症(89.8%)、脳卒中(12.4%)、痙攣(7.1%)で、退院した394名のうち、6か月以内の再入院が55.8%、再入院中の死亡率は23.2%でした。これらから脳症・脳卒中・痙攣を来した患者の長期的予後が不良であることが分かります。
成人患者において、急性期に神経合併症、特に脳症、脳卒中、痙攣、昏睡をきたした場合は要注意。 (小児科 土谷)