「経皮感作」という言葉をご存じですか？

皮膚の一番外側の「表皮」層には、ランゲルハンス細胞という抗原提示細胞があります。

抗原提示細胞は、皮膚に浸入してきた異物を認識して記憶し、次にその物質が体内に侵入してきたときに攻撃できる体制（＝アレルギー）を整える細胞です。言い換えると、「見張り番」。

正常な皮膚は角層に守られており、表皮内に異物が侵入してくることは殆どありませんが、乾燥や湿疹、擦り傷、かき傷などで角層が破壊されてしまうと侵入できる隙間が広がり、そこから異物（花粉、ハウスダストなど）が侵入してしまいます。侵入した異物がランゲルハンス細胞に見つかると、それまではアレルギー反応を起こさなかったものにも反応するようになってしまいます。

このように、ダニやハウスダストなどの異物に対して免疫が働き、体内で抗原特異的IgEが産生されることを「感作」と呼びます。経皮感作とは、皮膚から抗原が侵入し、体内で抗原特異的IgEが産生された状態を指します。

乳児湿疹や小児のアトピー性皮膚炎の治療では、この経皮感作を防ぐことが治療の1つになります。余計なアレルギーを獲得しないで済むように、「ただの湿疹」「ただの肌荒れ」と放置せず、しっかり治療することが大事です。

普段からスキンケアを心がけ、きれいな肌を保ちましょう！　（小児科　土谷）