院長先生のブログ
笑いの効果
今日は「笑い」の効果に関する論文(DOI: 10.7759/cureus.42760)を紹介します。近畿大と吉本興業が行った研究です。
癌経験者は日常生活機能が低下することによって、健康関連QOL(HRQOL)が低下します。さらに、日々の生活におけるストレスは酸化ストレスの悪化につながります。癌経験者に対する「笑い療法」が健康関連QOLおよび酸化ストレスに対して有効かどうかを検討しました。
癌経験者に15分以上のコメディビデオを4週間にわたって視聴してもらい、がん治療機能評価(FACT-G)、EuroQOL 5 dimension 3-level(EQ-5D-3L)、病院不安・抑うつ尺度(HADS)、生物学的抗酸化能(BAP)、酸化ストレス値(d-ROM)、酸化ストレス指数(OSI)、抗酸化/酸化ストレス比を評価しました。
その結果、FACT-G値およびEQ-VAS値が有意に増加し、不安(HADS-A)および抑うつ(HADS-D)スコアが有意に減少したことが分かりました。これらの項目はベースライン時と3週後および4週後とで有意差がみられました。また、BAP(p<0.01、d=0.49)、OSI(p=0.03、d=0.33)、BAP/d-ROMs(p<0.01、d=0.51)に有意差を認め、小~中等度の効果が認められました。
以上から、毎日お笑いを鑑賞することは、癌経験者のQOLと抗酸化能力を改善する効果的な介入である可能性が示唆されました。安全性、利便性、低コストを考慮すると、癌経験者に対する価値の高い介入と考えられた。
毎日のお笑い鑑賞には、生活の質と抗酸化能力、不安・うつを改善する効果がある可能性があるみたいですね。「笑い」ある生活、良いですね! (小児科 土谷)