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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

セフトリアキソンとランソプラゾール

小児科外来でもよく使用される抗菌薬のセフトリアキソン(CTRX)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)のランソプラゾール(LPZ)の2剤を併用することで心電図でQT延長が発生することは、一般的によく知られています。しかし、これまで、これが臨床的に重要な患者の転帰につながるか?については不明でした。

 

今回はこの関連(CTRXとLPZの併用によって心室性不整脈、心停止、死亡が増加するか)について調べた論文(J Am Coll Cardiol. 2016 Oct 18;68(16):1756-1764. doi: 10.1016/j.jacc.2016.07.761.)を紹介します(ご存じの方も多いと思いますがご容赦下さい)。

Coupling Data Mining and Laboratory Experiments to Discover Drug Interactions Causing QT Prolongation – ScienceDirect

 

内科に入院し、CTRXとPPIが併用された患者31,152例(平均年齢71.7(標準偏差16.0)歳)を解析対象とし、うち3747例(12.0%)がLPZを使用していました。LPZ群と他のPPI群のベースラインの比較では、LPZ群では、高齢、長期療養施設居住、2020年中の入院(コロナパンデミック下の入院)、修正Laboratory-Based Acute Physiology Scoreの高値、ICUへの入院、誤嚥またはCOVID-19による入院、心室性不整脈に関連する薬剤の投与が多かったことが分かりました。

 

心室性不整脈または心停止を起こした患者は445人で、このうち336人(75.5%)が院内で死亡していました。

「LPZ群 vs その他PPI群」のアウトカムの比較は・・・
(1)心室性不整脈または心停止:3.4% vs 1.2%(p<0.001),未調整リスク差は2.2%(95%CI 1.7%-2.8%)
(2)全死因院内死亡:19.9% vs 10.1%に発生し(P<0.001),未調整リスク差は9.8%(95%CI 8.5%-11.2%)
(3)入院期間中央値:12.6日(IQR 6.1-28.4) vs 7.0日(IQR 3.8-13.7)

 

また、傾向スコアによるIPTW法を用いた解析を行ったところ、LPZ群は心室性不整脈または心停止のリスクが2.2倍、全死因院内死亡リスクが1.6倍有意に高いことがわかりました。サブグループ解析および感度分析でも、LPZ群でリスクが高いという同様の結果でした。

 

以上から、このCTRXとLPZの併用療法が致命的な有害事象を増加させていることが分かりました。他のPPIでは致命的有害事象増加が認められなかったことから、CTRXとLPZの併用は避けるべきと考えられます。

 

セフトリアキソン(CTRX)とランソプラゾール(LPZ)も成人診療でよく使用する薬剤です。要注意ですね! (小児科 土谷)

 

 

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