院長先生のブログ
小児にCT検査を行う際に考慮すべきリスク

日本の医療機関(特に二次以上)にはCTを設置してある施設が多いと思います。
実際、日本のCT保有数は100万人あたり107.2台で、G7平均の25.2台、OECD関連国の25.4台と比べても断トツでトップです。そのため、一般病院の外来でCT検査を受ける機会も多いと思います。
その一方、CT検査で照射される線量レベルが人体にとって、どの程度リスクがあるのかは明確になっていませんでした。
今回、そのリスクに関して調査した論文を見つけたので紹介します。
欧州9ヵ国で22歳までにCT検査を受けた948,174人を追跡し解析しました。
解析の結果、CT検査曝露による累積線量と全血液悪性腫瘍のリスクとの間に関連が認められ、100mGy当たりの過剰相対リスクは1.96倍(95%信頼区間1.10~3.12)でした(790例)。リンパ系および骨髄系の悪性腫瘍についても同様の推定値が得られました。
この結果から、小児1万人(平均線量8mGy)に対して、その後12年間に1-2人が放射線被曝に起因する血液学的悪性腫瘍を発症すると予想されることが分かりました。
CTで用いられる低線量であっても、小児のがんリスクは増加する模様です。
小児に対してCT検査を行う際は、その検査の妥当性・必要性をよく考えなければなりません。
「心配なのでCT撮ってください」は控えましょうねw (小児科 土谷)