院長先生のブログ
男性にとってのHPVワクチン②
昨日はHPVが引き起こす男性の病気について触れました。
なかでも、中咽頭がんは世界的にも増加しており、一部の国では子宮頸がんの発症数を上回っているくらいです。中咽頭がんは子宮頸がんのような前がん病変が未だ見つかっておらず、早期発見が難しい病気です。その観点からも、HPV感染とがんの発症を予防するためにHPVワクチンを接種することは大変重要です。勿論、がん以外の病気でも、日常生活に支障をきたす病気も多いことから、がん以外の病気を予防する上でも男性がHPVワクチンを接種する意義はあると思います。
日本における男性へのHPVワクチン接種
2020年12月に4価ワクチンのガーダシルが肛門がんと尖圭コンジローマの予防を目的として、9歳以上の男子にも適応承認されています。そして適応を取得したことで、万が一ワクチン接種後に何らかの有害事象が生じた場合でも公的な救済制度の検討対象に入ることになりました。
残念ながらまだ定期接種になっていないため自費接種となってしまいますが、「がん」を予防できるHPVワクチン接種が男性にも拡がることを期待します。
男女ともにワクチン接種を推奨する戦略は「gender neutral vaccination」とも呼ばれています。
(アメリカCDCは性別にかかわらず、全ての人にHPVワクチン接種を勧めています)
日本でも、男性自身を守ること、パートナーも守ることが出来るHPVワクチン接種が男女を問わず拡がることを期待します。
常々、こういう所(自費接種ワクチン等)に補助を出して、将来を担う若者に投資する姿勢を自治体や国には見せて欲しいと思います。 (小児科 土谷)